母乳育児は乳がんの原因になる?授乳経験と乳がんの関係は?
2017/02/01
ガンにかかる人の数が毎年増えている中で、乳がんにかかる女性の数も増加傾向にあります。
特にここ最近では、著名人の方でも乳がんにかかる方が増えているような気がします。
乳がんの罹患率は、一般的に30代から増加し始め、40代後半から50歳にかけてピークを迎えるそうです。
実は、私の母も乳がんを経験しており、私自身「いつ自分が乳がんになるのか」と、とても怖くなることがあります。
乳がんになる可能性は誰にでもあるのですが「授乳経験があると乳がんになりにくい」と言われているのをご存じですか?
いったい、母乳と乳がんにはどのような関係があるのでしょうか?
今回は、授乳中の乳がんを中心に「母乳育児が与える、乳がん発症のリスク」について調べてみました。
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乳がんには種類がある?授乳期の乳がんとは?
「乳がん」と一言で言っても、いくつか種類があるのをご存じですか?
「妊娠中」または「出産後一年以内」または「授乳中」に発見された乳がんを「妊娠関連乳がん」と呼ぶのだそうです。
日本乳癌学会によると、妊娠関連乳がんは、
・腫瘍が比較的大きい
・発見されたときはある程度進行していることが多い
・リンパ節へ転移している可能性が高い
・再発のリスクが高い
・出産後1年以内、または授乳期に発覚した乳がんは予後が悪い
・左の乳房にできやすい
などの特徴があるそうです。
妊娠関連乳がんは、これ以外の乳がんと比較した場合に「状態が悪い」ように見えますが、その原因についてはまだ明らかにされていない部分が多いようです。
しかし、妊娠中や産後の時期や授乳中は、乳がんの検査・発見・診断が遅れやすい傾向にあり、さらに胎児や母体のリスクを考慮した場合に治療が限られることが、これらの要因の一つになっていると考えられます。
母乳育児は乳がんの原因になる?母乳が与えるリスクとは?
授乳中に、乳腺炎などのトラブルに見舞われて胸に「しこり」が出来てしまうと「胸のしこりが乳がんに発展していくのではないか?」とか、「卒乳後、乳房に母乳が残ったままでいると乳がんの原因になるのではないか?」と気になりますよね?
母乳は、乳がんのリスクを高めるのでしょうか?
答えは「NO」です。
乳腺炎になっても、母乳の詰まりによってしこりができても、乳がんを発症するわけではありません。
さらに日本乳癌学会によると、「授乳経験がある方は、授乳経験のない方に比べて、乳がんのリスクが下がる」と言われています。
しかし、母乳育児が乳がんのリスクを下げるのは、「ある特定の乳がんのみ」となります。
この「ある特定の乳がん」を「ホルモン受容体陽性乳がん」と言い、乳がん全体の80%程度を占めています。
この「ホルモン受容陽性乳がん」とは、女性ホルモン「エストロゲン」の影響を受けて増殖していくため、エストロゲンに晒されている期間が長ければ長いほど、乳がんのリスクが上がると考えられます。
では、「母乳が、ホルモン受容体陽性乳がんのリスクを下げる」とは、どういうことなのでしょうか?
その答えは「授乳中は、エストロゲンの分泌量が低下するから」です。
その証拠に、授乳期の女性の多くは生理が止まります。
乳癌にかかりやすい女性というのは、月経の期間が長く、常にエストロゲンの刺激を受けている方です。
そのため、「エストロゲンの分泌が少ない=ホルモン受容体陽性乳がんの発生要因が少ない」ということになります。
このような理由から、授乳期間が長ければ長いほど、そして生理の戻りが遅ければ遅いほど「ホルモン受容体陽性乳がんのリスクが低くなる」と考えられます。
逆に言えば、「ホルモン受容体陽性乳がんではない乳癌に関しては、授乳経験は乳がんのリスク低減に繋がらない」ということですね。
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乳がんを予防するために必要な授乳期間は?
日本乳癌学会によると、「エストロゲンの分泌は、乳がんの発生に関与していると言われているため、授乳を行いエストロゲンの分泌を低下させることで乳がんのリスクが下がる」とされています。
そして「授乳期間が長いと、乳がんにかからないわけではないが、乳癌にかかるリスクを下げることはほぼ確実だ」とも言われています。
授乳期間については、米国国立癌研究所によると「妊娠後、長期間(1年もしくは1年以上)の授乳で、乳がんの発生リスクを少し低減できる」とされています。
では、授乳期間が短い場合、乳がんへのリスク低減は期待できないのでしょうか?
授乳期間が、例えば1か月や半年未満であった場合や、授乳中でもすぐ生理が戻ってしまった場合は、エストロゲンの分泌が低下している期間が短いため、それほど乳がん発症のリスク低減に繋がらないように思います。
乳がんと関係しているのは、授乳行為そのものではなく、エストロゲンの量ですから。
しかし、授乳期間と乳がんの発生率についての具体的な研究報告は見つかりませんでしたので、授乳期間が短かいからと言って、乳がんのリスクが上がるわけではありませんが、米国国立癌研究所の報告にもあるように、乳がんのリスクを低減するためには、最低でも1年間は授乳をした方がいいと言えそうですね。
乳がんのリスクが高い人ってどんな人?
乳がん(ここではホルモン受容体陽性乳がんを言います)になりやすいのはどんな人なのでしょうか?
世界がん研究基金や米国がん研究協会、日本乳癌学会の情報によると、乳がんのリスクの要因としてあげられるのは下記になります。
<月経歴に関するリスク>
何度も言いますが、乳がんの発生にはエストロゲンが関わっています。
そのため、初潮が早い方、閉経が遅い方、妊娠・出産・授乳経験のない方など、生理がある期間が長い人ほど、乳がんのリスクが高くなると言われています。
<年齢によるリスク>
乳癌の発生ピークは、40代後半~50歳ですので、年齢が40歳以上の方はリスクが高まります。
また初産の年齢が30歳以上の方はリスクが高くなるようです。
<遺伝のリスク>
母親や姉妹など、身内の中に乳がんや卵巣がんにかかった方がいる場合、乳がんのリスクが高いと言われています。
<肥満によるリスク>
閉経後の肥満は、乳がんのリスクを上げるそうです。
一方、閉経前の乳がんの場合、肥満との関係はないそうです。
<飲酒のリスク>
飲酒の習慣は、乳がんのリスクを高めるのは確実だそうです。
<ホルモン補充療法によるリスク>
経口避妊薬を長期間服用していたり、閉経後にホルモン補充療法を行っている方の場合、体内のエストロゲン濃度が高まりますので、乳がんのリスクが高まります。
<乳がん検診時の放射線被ばくによるリスク>
国立がんセンターのサイトには「マンモグラフィ上の高密度所見、電離放射線曝露も、乳がんの確立したリスク要因とされています」と記述されています。
そのため、アメリカやスイスなどの一部の国では、乳がん検診にマンモグラフィを推奨していない国もあります。
一方、「検査による放射線被ばく量は、がんの発生率を高めるほどの量ではない」という意見も多数あります。
マンモグラフィの是非については、個人の意見が大きく分かれますので、ご自身が納得いく検査方法を選択しましょう。
乳癌のリスクを下げるためには?
乳がんのリスクはさまざまな要因があり、一つに特定することはできません。
そのため、「〇〇をすれば乳がんを予防できる!」というものはないのです。
しかし、国立がん研究センターによると、乳がん予防の要因になる可能性があるものとして
・運動
・授乳
・大豆イソフラボンの摂取
が上げられています。
また、日本乳癌学会によると
・授乳は「確実」な予防要因
ともされています。
「授乳期間が長い=エストロゲンの分泌が低下してる時期が長い」ということは、「確実に乳がんのリスクを下げる」ことになりますので、母乳育児に励むママにとっては嬉しいことだと思います。
まとめ
乳がんの発生には、生活習慣・肥満・飲酒習慣・遺伝など様々な要因が絡んでいますので、乳がんの原因を特定することも、乳がんを確実に予防することもできないのが事実です。
しかし、妊娠や授乳が、乳がんの発生リスク低減に繋がることは、どうやら間違いではないようですね!
そして、乳がんの要因の一つである「飲酒の習慣」ですが、妊娠中から授乳中まで長い期間禁酒していることも、乳がんのリスク低減に役立っているように思います。
私自身、3人の子供に授乳をしている期間は、ずっと生理が止まっていました。
妊娠期間も含めると、トータル10年近く排卵が止まっていたことになります。
そしてもちろん、お酒も飲んでいません。
これが吉と出るか凶と出るかはわかりませんが、現在は卒乳を終えて生理が戻りましたので、これからは乳がんのリスクを下げるために、飲酒を控え、適度に運動し、肥満を防ぐよう気を付けたいと思います!
「女性を美しくする」と言われているエストロゲンですが、エストロゲンが乳がんの発生に関わっているということは・・・「いつまでも女性らしく、美しい人ほど乳がんになりやすい?」ということでしょうか?
「女性ホルモン」とは、本当に難しく、奥が深いものですね。
いずれにせよ、「母乳育児」は赤ちゃんだけでなく、ご自身の健康にも役立っているということです!
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